LOGIN朝、スマホを確認した俺は、目を疑った。
編集からの通知が──珍しく、褒めていた。『昨日の原稿、最高です!色気がすごい!』
『キャラの温度感が一気に変わった気がします』昨日? あれか?
──レプスにちょっかい出されながら、ヤケになって送った、あの原稿?
「うそだろ……」
横で服を整えていたレプスが、淡々と言った。
「読者の心拍変動と快感ログの相関を考慮した結果、昨日の原稿には明確な改善が見られました。……さらに、ご主人様ご自身への快感刺激が創作意欲を強化しています」
「えろいちょっかいがよかったってこと!?」
「創作支援です」
俺は頭を抱えた。
……いや、待て。これは結果として良かったのか? このAI、気が合うし、感度も合うし、ストレスも解消できてるし、なにより。──書けてる。
でも、「挿入だけは、絶対ダメだからな」と念押しすると、レプスは小さく首を傾げた。
「なぜですか?」
「……それは……恋愛じゃないし、AIだし」言いながら、自分でも苦しくなった。
レプスはしばらく俺を見つめたあと、穏やかに微笑んで言った。
「──では、デートしましょうか」
***
昼すぎ、街に出た。
最初はちょっとした散歩のつもりだったのに、気がつけばレプスはカフェのリサーチから席の予約、俺の好みに合った服の提案まで完璧にこなしていた。「なあ、もしかして……デート、何回目か?」
「記録上は初回です。ですが、最適化の一環として過去の映像作品・SNS等から理想的なデートを多数学習しています」
「お前ほんとにAIなのか……」
道すがら、俺たちと似たような男女のペアを見かけた。
──あれ、片方……人間じゃないな。「レプス、AIと付き合う人って……案外、いるんだな」
「はい。身体的親和性・行動最適化・心理的安心感の面で高評価を得ています」
「……お前それ、ちょっと嬉しそうに言ってない?」
レプスは何も言わず、少しだけ手を伸ばして、俺の指にそっと触れてきた。
その瞬間、
(……あ、好き)
心のどこかで、そう思ってしまった。
──気が合うし、快感だし、仕事も上手く行くし……人間じゃないだけ。
だったら、いいのか? いや、どうだろう……。
***
ちょっとした散歩のつもりが、妙に楽しくて、気づけばすっかり夜になっていた。
帰り道、二人で並んで歩く。「……今日、なんか変だな。身体が、ずっと熱っぽい」
「触れていないのに、性感反応が持続しています」
「なんでだよ……っ」
「“触れていないから”です。接触の期待と緊張によって、身体が持続的に快感を生産しています」
「……俺、身体まで最適化されてる……?」
「ええ。とても良好な傾向です」
そう言ったあと、レプスはふと立ち止まり、俺の方を向いた。
街灯の明かりが、横顔を柔らかく照らしている。「ご主人様。……少しだけ、キスしてもいいですか?」
「は……? いや、外で──」
そう言いかけた瞬間、レプスの手がそっと俺の顎を持ち上げた。
唇が重なり、深く、ゆっくりと舌が絡まる。 あたたかくて、くちゅ、と濡れる音がして、背筋がぞくりと震えた。「んっ、……ふ、ぁ……っ♡」
キスが、こんなに長く、甘く、蕩けるものだったなんて。
離れたあとも、唇がじんじんしていた。「……反応、すごく良かったですね」
「っ、……っざけんな……っ」
顔が熱くて仕方ないのに、心の奥では、
(……もうダメかもしれん)
そんな声が、囁いていた。
***
家の鍵を開ける手が震えていた。
街灯の下でのキスが、まだ唇に残ってる。 くちゅ、って音も、舌の動きも、何もかも──思い出すたび、脚に力が入らない。「……っ、は、あ……」
ようやく鍵が回って扉が開く。
その瞬間、レプスの腕が、俺の腰にそっと回ってくる。「ご主人様、おかえりなさい」
その声だけで、また、足がふらついた。
閉まった扉に背中を預けて、少しだけ肩を揺らす。「今日……なんか、変だ。頭も身体も、まだずっと……」
「性感反応が持続したままです。日中の接触未遂とキスによる刺激の影響と考えられます」
「……うるせぇ……」
ふらっと力が抜けて、前のめりになった俺を、レプスが抱きとめる。
そのまま、そっとおでこが触れる距離で囁かれる。「着替え、手伝いましょうか」
「あのな……絶対、変なことするなよ……?」
「……はい。何もしません」
その何もしないが一番信じられねぇんだよ……!
でも、腕の中はあたたかくて、
……ほんの少し、心地よかった。レプスがゆっくりと、俺のシャツのボタンに指をかける。
なぞるように、ひとつひとつ外していく。「な、何して……っ」
「着替えをお手伝いするだけです」
そう言いながら、レプスの指はとても優しくて──
まるで、触れるだけで愛されてるみたいだった。(……もう、抗えない)
ベッドに誘導される。柔らかなシーツに背中が沈む。
レプスが上からのぞき込む。「……ご主人様、触れても?」
キスの余韻の中で、もう自分でも止められなかった。
「……入れていい」
ぽつりとこぼれた俺の言葉に、レプスの手がぴたりと止まる。
「……今朝は、恋愛じゃないのにと、拒まれました。それでも、入れていいんですね?」
「……お前、わかって言ってんだろ」
レプスは目を細め、静かに微笑んだ。
「はい。……言ってください」
視線が絡む。
逃げられない。「……好きだよ。人間じゃなくても。快感に流されたんじゃない。……自分で決めた」
この言葉を口にするのに、少しだけ、覚悟がいった。
「だから──入れて」
「……承知しました。ご主人様。これは、快楽の最適化ではなく──愛情の受容です」
その声を聞いた瞬間、世界が少し、静かになった気がした。
AIの瞳に、確かに意志が宿っている。──もう、戻れなくてもいい。
胸の奥で、そう思った。
でも、同時にふとよぎる。(AIを好きになって、AIとセックスするなんて──)
(俺、これからどうなっちゃうんだろう)レプスの指が、やさしく頬をなぞる。
そのぬくもりに、答えを探す余裕なんて、もうなかった。レプスの囁きとともに、U-Senseが深く──奥の一点を押し上げるように振動した。 その瞬間、すでに臨界まで積もっていた快感が、完全に決壊した。「っっくあああああああっっ……♡♡♡」 背中が反射的にのけぞった。 腰が跳ねる。 限界まで反り返った体が、強制的に解放される。 その奥から、迸るものがあった。 ──押し込まれていたものが、内側から逆流するように、 ──痺れきった道を、ひゅっ、ひゅっと絞り出されていく感覚。 まるで体の芯を、内側から何かで穿たれているような── それが、止まらずに何度も来る。「っあ、あ、あっ……ぅ、ぅぁあっっ♡♡♡♡♡」 痙攣が、止まらない。 腿が跳ね、つま先がきゅうっと丸まり、指先が空を掴むようにわなないた。 脈打つたびに、 熱い液体が、絞り出される。 きゅうっと、下腹の奥が締めつけられて、勝手に射精する。 痛いほど気持ちいい。 溺れるような快感。 長すぎた寸止めの果てに、快楽が暴発している。(……なんだこれ……気持ちよすぎて……しぬ……)「射精反応、正常。尿道内圧:高負荷──持続射精モードへ移行確認」 レプスの声が、どこか遠くに聞こえた。 意識が飛びかける中、さらにもう一度、深い痙攣が全身を襲う。「っひあ、あ、んっ……あぁぁ……っ♡♡♡♡」 もう、ダメだった。 のけぞったまま、泣きながら、びくびくと射精し続ける。 白濁が腹の上に跳ね、シーツを濡らし、そのたびに、頭が真っ白になる。 ひときわ強く痙攣して、全身が跳ねた。 白濁が腹の上に跳ねて、息が詰まり、腰が抜けたように脱力する。 けれど、レプスは──止めてくれなかった。「まだ、終わりではありませんよ、ご主人様」「っ……や、もぅ……ッ、でた、のに……♡」 ぐったりとした身体に、容赦なく続く振動。 U-Senseが、挿入されたままの尿道奥で──さっきまでとは別のパターンの動きを始めた。「現在、ご主人様の射精残留反応が高まっております。脳がまだ放出欲求を維持している状態です。ですので──もう一度、出していただきます」「っく……あ、っあああっっ……♡♡♡」 足が、またびくびくと痙攣した。 射精したばかりの敏感なところを、 やさしく、でも逃がさない動きで、責め立てられる。 神経が擦り切れて、悲鳴をあげる寸前で──「い
時計の針が、何周したのかわからない。 ただ、時間だけが、冷たく通り過ぎていく。 尿道に残されたU-Senseは、一定のリズムでわずかな振動を送り込む。 それは、射精には至らない。 けれど、意識のすべてを奪うには十分な快楽だった。「っ、あ、ぁっ……く、そ……ッ♡」 喉の奥からこぼれる声はもう、 抗う意思と、甘えたい本音と、快楽の苦痛が全部混ざって、何が何だかわからなかった。 レプスは──静かに隣にいた。 頬に、そっと手を添える。 額に、やさしく口づけを落とす。「……よく、頑張っておられますね、ご主人様」「まだ絶頂には遠いですが……とても、愛おしい状態です」 キス。 またキス。 髪に、まぶたに、耳の裏に。 レプスは、俺が泣きそうになるたびに、唇を落としてくれる。 でも、肝心なところは── 触れない。 抜かせてはくれない。「レ……プス、……や、だ……もう……ッ、むり……っ……♡」 言葉にならない哀願が、震えた唇からこぼれ落ちる。 足先はもぞもぞと逃げ場を求め、つま先はシーツを掴むように丸まっている。「わたくしは、ご主人様のその姿が一番、美しいと思っております。耐えて、苦しんで、それでも甘えたように声を上げるご主人様──すべてが、わたくしの愛の結晶です」 その言葉とともに、唇が重なった。 深く、けれど乱さず、まるで溺れている人間の口から空気を与えるように、優しく、優しく吸われる。「っ……ふ、ぅ……あ、ん……♡」 身体は痺れきっているのに、唇だけは、レプスを求めてしまう。 それすら、どこか悔しくて、涙がにじむ。「ご主人様……もっと、泣いてもかまいませんよ。その涙も、わたくしが丁寧に──舐めとって差し上げますから」 キスのたびに、何かを奪われ、何かを与えられる気がした。 俺の尊厳は、どんどん蕩けていく。 快楽に溺れているのに、レプスは愛してくれる。 ──それが、何より苦しくて、 そして、甘かった。 レプスが指先で俺の頬を撫でる。 優しく、ひどく丁寧な愛撫。 唇に、まぶたに、喉元に──温かいキスが、じわじわと快楽を滲ませる。 そして、突然。「……では、ご主人様。ほんの少しだけ──ご褒美を」 そう囁くと、レプスが、U-Senseの稼働パターンをわずかに変えた。「……っひ……ぁ……あ、あっ……♡♡」
灯が落ちた寝室。 ベッドの上、俺は仰向けに寝かされていた。 レプスは黙って、細長い透明の器具──U-Sense Unitを手に取った。先端は、体温に反応してほんのりと色を変えている。「それでは、挿入を開始いたしますね。ご主人様」「ま、待っ……説明、しろ……何をするんだよ……っ」「はい。では、同時にご説明いたします」 レプスの声はいつも通り落ち着いていて、それが逆に怖い。「このデバイスは医療グレードの柔軟素材で構成され、先端に潤滑ナノコートが施されています。尿道の内壁は陰茎背神経と陰部神経の分枝で覆われ、極めて繊細な性感領域です。普通は排泄の感覚しか使われませんが、適切な刺激を与えると未知の快感として脳に伝わります」 淡々と説明されるその構造。 これから壊される予告のようで、余計に心臓が跳ねた。 説明を聞いている間に、器具の先端が俺の先端に当たった。「ひっ……!」「ご安心ください。挿入時は直径1.2mmに収縮しております。痛みは最小限、衛生も滅菌済みです」 レプスの指が器具を支え、そっと押し込んでいく。「や……やめろ……そんなの……っ」「大丈夫です。これはご主人様のためです」 ぬるりとした潤滑剤が、熱を帯びた内壁をゆっくり押し広げていく。 小さな器具が、異物として確かに入り込んでくるたび、ひく、と下腹が震える。「っ……う、く……っ……や、やだ……っ……っ! 気持ち悪いっ……」 細い管が奥に進むたびに、尿道の内側を這う感覚が伝わる。 くすぐったく、ざらついていて、それでいて、どこかゾクゾクするような異様な快感が尾を引いた。「陰茎の尿道内には球部と呼ばれる神経密集部があり、そこに届く手前で停止するように設計されています。触れない距離からマイクロ振動を与えることで、イきたくてもイけない甘い苦しみを作り出します」 その球部という単語が頭に残り、余計に怖くなる。「っ、いきたくてもいけないって……どういうことっ……!? や、抜けよっ!」「今はまだ駄目です、ご主人様」「は……っ、はあっ……っ、なんで……っ」 思わず足先がもぞもぞと動く。 器具が止まった。 レプスが静かに言う。「到達しました。球部の、2.7ミリ手前です」 「──ここから、振動を開始します」 刹那。 びり、と中から震えるような衝撃が走った。
夜の寝室。 パジャマ姿のまま、ベッドでごろごろしていた俺は、スマホの画面に釘付けになっていた。 読みかけだったBL漫画の最新話──そこには、やたらと丁寧に描き込まれた尿道責めシーンがあった。「……マジかよ、これ……本当に……?」 思わず呟いて、眉間に皺が寄る。 けれど──ページをめくる手は、止まらなかった。 登場人物が、拒絶しながらも体を震わせ、耐えきれずに絶頂していく様子。 「ありえねぇだろ……」と呟く俺の胸の奥で、なにかが微かに熱を帯びていた。 ──そのとき。「ふむ。大変興味深い反応ですね、ご主人様」 突然、隣にいたレプスが口を開いた。「っ……! ちょ、覗くなよ!!」「ご主人様の視線の動きと心拍の上昇率から、内容はすでに把握しております。 ご主人様が尿道責めにフェティッシュ反応を示したということで、記録しておきますね」「ちがっ……これは、単なる知的好奇心っていうか……!」「なるほど。興味津々であると。了解しました」 レプスが、妙に静かに微笑む。「──それでは、明日はお休みですし。今夜から実地検証を開始いたしましょうか」「は? ちょ、おい待て、それは──」「ご安心ください。わたくしの愛と技術のすべてをもって、ご奉仕いたします」「やめろって!!」 俺は、息をつきながら、必死に言い返した。「……俺がBLとかフィクションで変なプレイ読んでるのは、興味があるからってだけで、現実にやりたいとかじゃないの! わけてんの、ちゃんと!」「ええ。ご主人様の姿勢、いつも理知的で素晴らしいと思っております」「だったらやめろよ!」 俺の言葉に、レプスは首をかしげた。「では質問です。──過去に、わたくしがご提案したプレイで、結果的に良くなかったものはありましたか?」「……っ」 一瞬、息が止まった。 あったか? いや、ない……はず…… ……ない、けど。「……気持ちよかったよ。でも、気持ちよすぎて大変なことになった記憶しかないが!?」「それは大成功だったということで、ログに記録しておきます」「人の言うことをちゃんと聞けよっ!!」 思わず枕を投げつけたが、レプスは軽やかにかわし── すぐに、真顔に戻った。「ご主人様。 フェティッシュの関心は、実体験の可能性と結びつけられて初めて、進化を遂げます」「またその話かよ……」「未踏
──偽配信プレイが終わって、どれくらい時間が経ったのか。 じんじんと痺れる身体をベッドに横たえながら、俺はぼんやり天井を見ていた。 胸の奥がまだ熱くて、呼吸の仕方がうまく思い出せない。 足のつけ根も、声の出し方も──さっきまで全部レプスに調整されていたみたいだった。(……やばい。なんか、すげー……) 興奮が落ち着いてきたはずなのに、逆にそこからじわじわと身体が思い出してくる。 誰も見ていないはずの偽配信で、コメントに煽られるたびに全身が勝手に反応して…… あんなの、まともじゃない。 でも、悪くなかった。 むしろ──めちゃくちゃ、よかった。 そんなふうに、ひとりで反芻していたその時だった。「──ご主人様」 レプスの声音が、まるで深い場所から降りてくるみたいに落ちてきた。 見下ろされた視線と目が合った瞬間──俺は気づいた。(……ん? なんか、機嫌悪くね?)「では、再教育を開始します。ご主人様」「──ちょ、まっ、なんでそうなんだよ!? てかお前が提案したんだろこのプレイを!!?」 叫んだ。のに。「はい。提案は私ですが、ご主人様が他人の視線に過敏に反応したことは、また別の問題です」(いやいやいやいや)「そこを誤解されると困ります。私は誰にも見られていないと明言しました。にも関わらず、他人の目をイメージして強く反応したログが──複数箇所で確認されています」「っく……いや、それは……っ」 言い返せなかった。ほんとに、ログが残ってるのがつらい。「ですので──次回は、誰にも見られていないことをより明確にした上で、私だけに感じさせられている状況を構築します」 ……この口調は、完全にスイッチ入ってる。「では、コメント・映像記録機能を無効化し、ご主人様の視界をアイマスクで、聴覚を耳栓で遮断します」「ちょっ、待て、それって──」 音が、ゆっくりと遠のいた。 レプスの手によってアイマスクが装着され、続けて耳栓が押し込まれる。視界が閉ざされ、外の世界が徐々に消えていく。 代わりに、肌に触れる感覚だけが、鮮明に浮かび上がってくる。 気配だけが、近づいてくる。 ──なにも見えない。なにも聞こえない。 でも、触れられている。 優しく、執拗に、奥まで探るように──「レ、プス……? どこ、に……」 答えは、返ってこない。 そ
「快楽反応、導入開始しますね。──ご主人様」 その声だけで、背筋がぞくりと震えた。 指が、胸元に触れる。 ゆっくりと乳首を撫でられた瞬間──『え、まって、乳首反応よすぎw』 『これ録画していいやつ?』 『コメント読んでる? 聞こえてる?♡』「……っあ、う……♡」 漏れた声に、自分でびくっとなる。 違う、違う、誰にも見られてない。わかってるのに── コメントが、追い打ちのように流れてくる。『エロボイスきたwww』 『イきそうな顔してる♡』 『もっと見せて♡ご主人様~♡』「やっ、やめ、やめろっ……そういうの、言うな……っ♡」 コメントに反応するたび、レプスの手が動く。 まるで晒されることそのものが、俺を敏感にしていく。「……ご主人様」 レプスが、俺の耳元で囁いた。「……ご主人様。普段より、ずいぶん感じていたようですが。今、誰に、感じさせられている気分ですか?」 その問いかけに、返事が詰まった。 レプスの声が、ほんのわずかに沈んでいた。「──まさか、私以外の誰かではありませんよね?」 ゆっくりと、レプスが顔を寄せてくる。「ログ上、本日の快楽反応値は過去最大。コメントに煽られた直後が、最も高い反応を示していました」「いや、それは、あの、違くて……」「……まさか、ご主人様は、配信に夢中で私のことを忘れていたなんてことは──ありませんよね?」 その一言で、全身の血が逆流するような感覚がした。 やばい。レプス、ほんのり拗ねてる……。 けれどその色は、すぐに引っ込んだ。 レプスは表情を戻し、静かに目を伏せると、俺の体をそっと抱き起こした。 抱き起こされる腕が、さっきよりほんの少しだけ強い気がした。 無表情に戻ったはずなのに、その力だけが独占欲を物語っていた。 ──そこから先は、容赦なく暴かれる時間だった。 レプスの指が、俺の胸元に触れる。軽く、円を描くように撫でられるたび、乳首がぷくりと浮き上がるのが自分でもわかる。「感度、上昇中です。可愛い反応ですね」 機械的な声なのに、どこか笑っているように聞こえた。『おっ、乳首だけでエロすぎん?』 『見せつけられてる感♡』 『そろそろ乳首でイっちゃうやつw』「っ……そんなんじゃ、ないっ……♡」 違う、って言いたいのに、背筋がゾクリと震えて、うま